緑が繁茂するこの季節、犬たちの散歩で気になるのが、彼らが草をはもうとすることだ。
 「犬が草を食べるのは、胃の調子が悪いからだ」と、幼い頃、祖母が言っていたのを思い出す。
 特に食欲がないとか、吐くとかはないし、至って快便でもあるのに、彼らは3頭そろって草を食べようとする。
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 よく見ると、彼らが好んで口にするのは、決まって同じ種類の植物だ。ヒトの膝から腰までの背丈で、茎が黒っぽく、葉が細長い、どこでも見かける雑草だ。ヨモギに似ているが、葉の形が違い、複雑な切れ込みがない。
 そのすらりとした薄い若葉を摘んで噛んでみた。ほろ苦い香りがツーンと鼻にくる。口の中が爽やかになり、不味くはなかった。
 おそらく犬たちにはこの清涼感がいいのだろう。
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 5月8日、リリーの娘ライラ、アロハの妹が「椎間板脊椎炎」のため、5才で他界した。その夜、オーナーさんから連絡が入った。
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 元気にルアーコーシングで走っていた彼女だが、最後のヒートを終えた頃から腰部を痛がり、次第に下半身の麻痺に至ったらしい。3週間の入院の末、オーナーさんに見守られて息を引き取ったようだ。
 痛みを和らげるため、鎮痛剤が投与され、それが腎機能を衰えさせ、ひいては心不全を来たした。最後は心マッサージをされながら逝ってしまったという。
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 調べてみると、「椎間板脊椎炎」は、背骨と背骨の間にあるクッションの働きをする椎間板に感染症が発生し、周囲に炎症が広がっていく疾患だ。発生機序まだは明らかにされておらず、ヒート後や歯肉炎などからの菌の感染が考えられ、犬の場合、雌は雄の2倍の発症率とされている。
 治療は抗菌剤や消炎鎮痛剤を主とした薬物療法で、これが脂肪組織の少ないサルーキにとっては命取りにもなりうる。
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 ライラは6頭生まれたうちの6番目に私が取り上げた唯一のシルバーグリズルだ。先の5頭はレッド系が続いて出てきたため、ライラが生まれ落ちる時の白と黒のコントラストがとても鮮やかだったことを今でも覚えている。
 しなやかな身のこなしで、落ち着いた性格のサルーキだった。
 生後118日目にグリズルを探していたオーナーさんに気に入られ、引き取られていった。
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 専ら、13才に近いサーシャを、逝くときには安らかにと願っていた最中、5才のライラの知らせは意外で、事の成り行きを理解するのに精一杯だった。それが、一晩おいて時間が経つと、ライラの面影が昨日のように蘇ってくる。
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 「ライラのオーナーさん、最後まで本当にありがとうございました。いい出会いだったことを心から感謝してます」



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 黄昏時に散歩へ出た。
 サーシャとリリーのヒートもなく、アロハはオトボケを取り戻して落ち着き、いっときの平和に浸っている。
 また来るヒートの対応を模索しながら。
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 ところがそれから数日後、22日の午後からサーシャが鳴き出す。帰宅したらクーンと寂しそうな声を出した。ハアハア喘ぎもせず、どこか痛い仕草もなかったので様子を見ていた。
 夜の食事を持っていくと、いつもはハウスから出て足踏みしながら待っているのに、出てこない。口元に差し出すが、鼻先で突き返したり敷物をかぶせようとする。結局、夕食は一口も食べなかった。
 この日からサーシャの夜泣きが始まった。 
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 夜泣きとともに、敷物をごちゃごちゃにし、ハウスに出たり入ったりを繰り返す。声が遠吠えのように長く尾を引き、それが甲高い時は夜の静けさを突き破るようだ。
 そばに寄って撫でてやると、鼻を鳴らしながら私の手や腕をしきりに舐め回す。今までにない感覚にとらわれているのかもしれない。
 今年の8月で13歳になろうとしている彼女は、とうとう加齢変化が心まで至ってしまったのだろうか。
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 いつもは、自分の領分を侵されると、とっさに攻撃に出るリリーだが、今回は、サーシャが大声をあげても、自分のハウスに入っても、遠くでそのままにさせている。リリーも同じ仲間として、よりはっきりと異変を感じているのだろうか。
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 26日の朝からサーシャはようやく食べるようになった。それまで、彼女の前に食器を持っていき、鼻先で拒否されながらも待っていると、時折フードをつまむように口にしていた。
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 それでもサーシャは朝と夕の散歩には普段通りに出たがり、少量ながらも通常の排便をする。歩みは遅いが、草むらの匂いを嗅いだり、猫を見ると追いかけようとしたり、不意に元気を見せることがある。
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 サーシャの落ち着かない状態は、5月2日から鎮まり、食欲が戻り、夜泣きもせずにいつもの場所で寝るようになった。ただ、排尿回数は以前より多く、1日2回はトイレシーツの上にしている。
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 今回のサーシャの異常行動は何だったんだろうか。
 もともと、年に一回は数日食事を取らない時期があった。そんな時はやたらとグーグー腹鳴を発する。
 生後11ヶ月でブリーダーさんから譲り受けたときは、その点の注意もあった。「年に1回くらい下痢するけど」
 確かに当初は下痢があったが、年を重ねるとともに下痢なしの腹鳴拒食に変化して行った。
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 果たして、夜泣きの原因が腹部の不調が原因だったのか、加齢変化による精神症状だったのか、これから注意深く見守っていきたい。
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 先回のブログ、「経口避妊薬を求めて」に対して、とても参考になる連絡を頂いた。
 アロハが生まれた頃、ハンドリング講習会で知り合ったヴィクトリアのオーナーさんからだ。当時ショーで走っていた、サーシャと同じコートカラーのアフガン、ヴィクは、去年、13才で他界し、今はその子供たち9頭と暮らしている。うち3頭が牝でインプラント避妊中とのこと。
 タバコフィルターほどのプロゲステロンチップを3本皮下に埋めているという。チップから薬剤が少しずつ放出され、シーズンを継続して抑える仕組みだ。本来のホルモンバランスに影響を及ぼすため、副作用として、子宮疾患になりやすい傾向があるといわれるが、今のところヴィクの娘たちは3頭とも問題はなさそうだ。
 東京でも、インプラント避妊は一般的ではなく、自然派志向のヴィクのオーナーさんは、かかりつけの獣医さんに偶然恵まれてこの避妊法が可能になったらしい。
 インプラント避妊にしても、局所、場合によっては全身麻酔での手術が必要であり、11才になろうとしているリリーにはうまくいくかどうか考えてしまった。
 それ以前に、インプラントであれ経口であれ、臓器摘出しない避妊法を行っている獣医さんは仙台近郊でまだ見つかっていない。
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 一方、サーシャはこれまでになくヘビーなシーズンを2月22日過ぎにようやく終えた。この間とても大変だったらしく、散歩意外はぺったり床に伏せていることが多かった。
 変化はその後も続いている。多飲と頻尿だ。
 これまで排泄は外でしかしなかった彼女は尿失禁をし始め、間も無くリリーとアロハに倣って、トイレシーツにするようになった。朝、晩の散歩の他、夜間、午前、午後、各一回ずつしている。水をよく飲んでは排尿の繰り返しだが、どこも苦しがる様子はなく、食欲旺盛で便の性状も異常はない。
 困ったことは、汚れたシーツをその都度確認するように嗅ぐため、耳の毛に匂いがつく。犬に服や靴を履かせる趣味のない私は、スヌードもできるだけ被せたくないため、久々に毛をカットすることにした。ただ、以前の大胆な全身のハサミ刈りではなく、今回は慎重にトライした。これが最後になるかもしれないという思いが過ぎったから。
 まずは耳の内側から前胸部にかけて、浮いた毛をバリカンで丁寧になぞった。刃を肌に押し付けず、毛の流れに沿って進めると意外にうまくできた。最後になるかもしれないこの時はじめて、犬のバリカンカットのコツを掴んだようだ。

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 サーシャが2月になってヒートを迎えた。彼女は2013年8月、乳腺腫瘍で、右側の第4から5乳房を切除して以来、ヒートが不規則になっている。今回は1年以上の期間を置いて久々にヒートを迎えた。サーシャは11才という年齢でもあり、離れた静かなところで横になりたがり、いつになく辛そうだった。結局、2月5日から22日まで出血があり、17日以降は濃厚なフェロモン臭とともに淫部がこれまでになく肥大化した。
 6才になるリリーの息子アロハは、去年の11月のリリーのヒートの時以上に、サーシャに夢中になってしまった。とにかく排尿の数が多く、常にサーシャのそばに居ようとする。部屋を別にしても扉をガリガリ引っ掻き、近くに寄れるまで哀れな声を響かせる。サーシャは立っているとアロハにモーションをかけられるため、室内ではハウスの中か狭いところへ入ろうとするが、アロハは諦めない。
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 私は犬に対しての去勢手術はまだ受け入れられない。
 理由は大きく二つある。一つは、以前、去勢したオスのラブラドールを見たことがあり、それが魂の抜かれた肉の塊に見えたからだ。他の犬が近寄っても関心を示さず、ただ呆然とし、至近距離になると突然吠えて反撃する。体は動くのが容易でないほど肥満状態だった。犬のオスの去勢は、私にとって本能除去の残酷行為に思えた。
 二つ目に犬は猫と違って、受精後排卵ではない。卵子と精子の生命期間が一致して受胎可能となる。人間と同じタイプだ。ネコは交配行為が刺激となって排卵されるため、受胎は確実になる。このことは、リリーをブリーディングするときに偶然知った。つまり、イヌはネコ目に属するが、繁殖システムが異なるということ。進化の途中で、群れをなし始めたイヌ科動物は、繁殖システムにも変化が生じたのだろう。
 そんなことを考えながら、ウェブサイトでイヌの避妊を調べてみると、経口避妊法があるようだ。イヌの場合、排卵をコントロールするのではなく、発情を抑えるようにホルモン剤を経口投与したりインプラントとして皮下に埋め込む方法があるという。
 早速、近隣の獣医さんに問い合わせしたがほぼ全面断られた。「うちは手術しかやってません」。
ただ一ヶ所、理解を示してくれた回答を得られたところもあった。「インプラントを外したことがあるが埋め込んだことはない。どうしても必要と言うのならば大学に戻った時情報を集めてこないといけない」。



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