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トビの話から 2016/10/10(月)

 先日、トビに拐われたチワワの話を聞いた。
 その飼い主は、公園で散歩仲間と話に夢中になっていたらしい。突然、一羽のトビが舞い降り、あっという間にリードが手からすり抜けたという。空中に垂れたリードのまま連れ去られる愛犬を唖然と見つめるしかなかったようだ。
 後日、偶然河原で、地面に降りているトビを見つけた。少しずつ近寄って見ると、意外に大きい。小型犬ならば簡単にあの爪でワシ掴みされそうだ。もっと近づいて写真に撮ろうとしたが、トビは犬たちの動きが気になったのか、頭をわずかに傾けた後、翼を広げて飛び立った。その泰然とした羽ばたきがスロー画像を見てるようだった。低空で弧を描きながら私たちの様子を窺っている。少しの怖さと野生の神々しさを感じた。
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 三頭を散歩をしているうちに気付いたことがある。
 牡と牝でマーキングの場所が違うようだ。サーシャとリリーはほとんど同じところで臭いを嗅ぎ、マークする。そこにアロハが加わるが、いつもとは限らない。彼は彼で別の場所に最初に興味を持ち、片足を上げることがよくある。牡と牝が共に興味を持つ情報と、牡だけまたは牝だけが惹かれるホットなメッセージがあるのだろう。
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 風がそよぐ日は気持ちがいい。彼らもまた風に向かって目を細めている。
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 アロハを河原で走らせたことがある。私の周囲を半径10メートルくらいの円を描きながら駆け巡った。ひと蹴りごとの動きがしなやかで、伸びやかで、思わず見とれてしまった。カメラを持っていなかったのが残念だ。
 帰り際、草むらのアリたちに目が行った。彼らは皆せっせと忙しそうだ。列をなして歩いては止まり、また歩く。互いにぶつかこともなく、メカニックな停止、歩行の繰り返しを続けている。
 彼らの世界を私たちの世界に拡大したら、あのスピードで、あの人口密度だったら、きっと勢い余って事故が多発するだろう。慣性力を瞬時にコントロールできなくなるだろうから。
 大型動物に見られる緩やかな動きは、この慣性力と形態の調和から生まれるのだと思ついた。
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